平成26年11月16日~17日ベトナム出張の報告

 平成26年11月13日(木)から15日(土)、ベトナム・ホーチミンを訪問し同地で開催された「ジャパンフェスティバル・イン・ベトナム2014」に実行委員長として参加した、一般財団法人東亜総研の武部勤代表理事会長は、同11月16日(日)から17日(月)にかけて、ベトナムのダナン、ハノイを訪問した。

 ベトナム中部の都市ダナンでは、クアンナム省のグエン・ドゥク・ハイ共産党書記及びル・バン・タイン人民委員会副委員長を表敬訪問。またハノイではトー・フィー・ルア越日友好議員連盟会長、カオ・ドゥック・ファット農業農村開発大臣ら要人と会談し、今後の日越関係、日越大学事業、農業開発を含む工業化計画への支援・協力の確認など、幅広い分野について意見交換を行った。以下、その概要を報告する。

 11月16日(日)夕方、ダナンの南方30kmに位置する港町ホイアンのホイアンホテルにて、一行はクアンナム省のグエン・ドゥク・ハイ共産党書記及びル・バン・タイン人民委員会副委員長と会談した(公益財団法人国際人材育成機構・柳澤共榮会長が同席)。
 冒頭、武部会長より、「ハイ書記はじめ、皆様方とこうしてお目にかかれたことを光栄に思う。本日クアンナム省を訪問し、本当によかったと思っており、今回ホーチミンで実施した『ジャパンフェスティバル・イン・ベトナム2014』は、ホイアンで実施すべきだったと反省している」と和やかに始まった。
 ハイ書記からは、「武部会長、栁澤会長他皆様の訪問を心より光栄に思い、御礼を申し上げたい。クアンナム省は日本と深い関係があるが、これから日本に支援いただきたいとして次の4点がある。①文化分野において、クアンナム省と日本との間の関係発展に力を貸していただきたい、②投資分野において、日本の中小企業・団体、大手企業などにクアンナム省に進出していただきたい、③人材育成のための日本への実習生の派遣について、国際人材育成機構の協力を仰ぎながら、発展させていきたい、④観光について、先般ダナンから日本への直行便が開通し、交通機関が便利になったので、特にホイアン町の観光が発展するようご協力いただきたい」、と4項目を示し、友好親善促進への具体的な申し出があった。
会談には、北海道オホーツク管内からの視察団一行18名が同席した。

ハイ書記より記念品の贈呈        ハイ書記、タイン副委員長と

 翌11月17日(月)午前、一行はダナンからハノイへ移動。同日午後、日本への「技能実習生」及び「技術者」派遣に伴う教育事業を展開する株式会社ITM(株式会社情報技術マンパワー)を訪問。同社チャン・アイン・チュン代表取締役社長によるご案内のもと、ベトナム人技能実習生が共同生活を営む寮や授業風景を見学した。

 日本語授業風景             寮での共同生活

【会社概要】
○社名:株式会社ITM(株式会社情報技術マンパワー)
○設立:2006年5月25日
○資本金:120億ドン
○従業員数:85人 (うち日本人スタッフ 5名)
○会社方針:三者有益(WIN-WIN-WIN)
○事業内容
・日本への「技能実習生」及び「技術者」の派遣に伴う教育事業
・日系企業に対するベトナム進出サポート業務
・在ベトナム日系企業に対する人財紹介(ベトナム人・日本人)

 ITM社は、日本へ派遣される技能実習・技術者への教育(日本語・規律)を主事業としている。ベトナムにおいては人財教育分野のパイオニア的存在として知られ、過去7年間で2,500人以上もの技能実習生及び技術者を教育し日本へ送り出した実績を有する。そして、32都道府県で技能実習生及び技術者に対するサポートと受入企業に対するきめ細やかな対応を実現する為、ベトナム各地にネットワークを築いている。

 同日午後、トー・フィー・ルア越日友好議員連盟会長を共産党本部に訪問し、日越大学構想などについて意見交換した。
 ルア会長より、「越日大学構想は非常に難しく大きな事業だが、日越双方が緊密な協力関係を築いて、更にきめ細かく議論を重ねてステップバイステップで調整すれば、必ず成功裏に行われると確信している。先般、ハノイ国家大学ニャ学長より、今までやってきた仕事とこれからやっていく仕事について報告があったが、非常に合理的に進められたと思う。ぜひ日越双方の専門家同士で、協議を重ねていただきたい。武部会長と私が会うたびに、本事業の実効性が大きくなっていく。これからも我々と一緒に努力していきましょう」と日越大学構想に対する武部会長の尽力に対し、高く評価した。
 武部会長からは、「ルア会長にはいつも温かいお言葉を賜り、また本日はヴー・ハイ・ハ越日友好議員連盟事務局長など多くの皆様に同席いただき、感謝している。ルア会長が私のふるさと北海道にお越しになるときには、大歓迎させていただきたい」とし、「帰国後、日越大学構想の全体像について、二階俊博日越友好議員連盟会長、岸田文雄外務大臣、下村博文文部科学大臣と基本的な方向づけをさせていただくことを約束したい」とした。

 その後、一行は市内の農業・農村開発省を訪問し,カオ・ドゥック・ファット農業農村開発大臣と面会した。
 冒頭、武部会長より、11月15日にホーチミンにて「ジャパンフェスティバル・イン・ベトナム2014」の一環として開催された毎日新聞社・越トイチェ新聞社共催の日越共同セミナー「日本の技術とベトナム農産物―農水産品の両国市場拡大に向けて―」及び日本の農林水産省主催「日本食フェステイバル」が大盛況であったことに触れ、「日本食に対するベトナム側の関心の高さを感じた。日本がベトナムの農業、水産業、林業、食品加工業などの発展に向けて協力できる部分がたくさんある」とし、「北海道の農協や漁協においてベトナムからの技能実習生を受け入れ、農家での集荷や販売、流通の現場で実習できるようなプログラムを作成することを考えている」と述べた。
 ファット大臣より、「ベトナム側にとって実質的な話と受け止めている。農業・農村開発省と日本の農林水産省との間に、協力に関する覚書(参考:日本国農林水産省とベトナム社会主義共和国農業・農村開発省との間の連携促進に関する意見交換)が締結されており、その内容の一つに、『ベトナムからの技能実習生を日本に派遣し、日本の農業に関する知識及び技術を勉強させる』とある。ベトナム側としては、農業に関するセクター、例えば畜産、水産物養殖、農林水産加工に関する全ての生産技術を勉強したいと考えている。北海道は冬が長く、寒いので、実習生は外には出ないかもしれないが、屋内での作業やショッピングセンターでの販売などを学ぶことも考えられる。ベトナムの農業従事人口は約2,500万人であり、日本の農業従事人口の正確な数字は存じ上げないが、約10倍だと思う。農村地域では、毎年70~80万人が新規で就業している。ベトナム人実習生の受入れが、ベトナムに対する真の協力だと思っている。武部会長からいただいたお話を実現できるよう、全力を尽くして協力していきたい。今回の話の農業・農村開発省側の窓口は国際局とさせていただく。今後、日本側の関係機関と協力し、具体的なプログラム、企画及び目標を一緒に作成していきたい。本日、武部会長からいただいたうれしいお話については、明日サン国家主席及びズン首相に伝達しておく」と述べ、会談を閉じた。

ルア越日友好議員連盟会長との面談    ファット農業農村開発大臣との面談