11月13日(木)23時、一般財団法人東亜総研の武部勤代表理事会長一行は、中嶋敏在ホーチミン日本国総領事の出迎えを受け、ベトナム社会主義共和国ホーチミン市タンソンニャット国際空港に到着し、10日間のベトナム訪問をスタートした。
今回の訪越の目的は、
①「ジャパンフェスティバル・イン・ベトナム2014」(実行委員長武部勤)の開催
②毎日新聞社・越トイチェ新聞共催の日越共同セミナー「日本の技術とベトナム農産物―農水産品の両国市場拡大に向けて―」への参加
③「日本食フェステイバル」(主催・農林水産省)への参加並びにベトナム側要人に対する日本食の普及・PRへの協力
④ベトナム農水産事業視察団の案内など
またダナンでは、クアンナム省のグエン・ドゥク・ハイ共産党書記及びル・バン・タイン人民委員会副委員長を表敬訪問。ハノイではトー・フィー・ルア越日友好議員連盟会長、カオ・ドゥック・ファット農業農村開発大臣ら要人とも会談し、今後の日越関係、日越大学事業、農業開発を含む工業化計画への支援・協力の確認など、幅広い分野について意見交換を行うことにあった。
11月14日(金)朝、宿泊先のニューワールドホテルにて、「日本食・日本食材の普及を目的とする日本食フェステイバル」で提供されるメニューを監修する、服部学園服部栄養専門学校の調理スタッフ陣を激励した。ユネスコの無形文化遺産に登録され海外でも注目を集める日本食の海外進出に、財団として積極的に取り組んでいく姿勢を示した。その後サイゴン商業公社※に視察団を案内、午後には水産加工工場を案内した。
※《SATRA社:従業員1万6千名、1995年設立、2013年売上42兆3100億ドン、売上・利益の年間平均成長率10%~15%。本社ホーチミン、日本事務所あり(横浜)。70社以上の子会社、提携会社、連営会社などを有するグループ会社。生産加工、卸売・小売業(流通業)などの事業を行う準国営企業》
同15時には「ジャパンフェスティバル・イン・ベトナム2014」開催中のニューワールドホテルに戻り、「教育シンポジウム」に参加した。
このシンポジウムは今回が初の試み。日越の大学・専門学校・語学学校など、日本側10法人とベトナム側10法人が、今後の留学生の相互派遣や国際理解の促進を目的とした事業の協力などについて、意見を交換した。
実行委員長の武部勤は、2013年12月の日越両国首脳の合意の下、日本の技術協力により進められている「日越大学設立」に触れ、「このシンポジウムが、日本においてベトナムの若者が、ベトナムにおいて日本の若者が活躍し、アジアの安定・世界の平和に貢献する、日越両国の未来につながるコラボレーションの第一歩になる」、とセミナーの意義を述べた。
隣接する会場では、昨年に続き第2回目となる「訪日旅行交流会」が開催され、日本の地方自治体・観光協会や関連する事業者など25法人と、ベトナム側のカウンターパート25法人が参加した。武部委員長は、昨年以上に参加者を増やしての開催となったことに謝意を述べると共に、史実で確認できる677年の阿倍仲麻呂以来の、日本とベトナムとの交流・絆の歴史に触れ、「今後、文化・芸術・芸能のみならず、地域同士の交流や、人と人との交流に貢献したい」旨述べた。
同17時30分からは、フェスティバルへの出展関係者を中心とする前夜祭を開催した。
ベトナムからは、レー・フン・クック ホーチミン市各国友好協会会長、グエン・コン・タイン ホーチミン市越日友好協会会長、ホー・タン・タイン ベトナム商工会議所ホーチミン支部長、グエン・テイ・カイン ホーチミン市観光協会副会長他が参加。
日本からは、中嶋敏在ホーチミン日本国総領事はじめ領事館関係者、安栖宏隆JETROホーチミン事務所所長、枚田有史ホーチミン日本商工会副会長・大林功同事務局長他、約250名が参加した。
武部勤実行委員長の開会宣言に続き、中嶋敏総領事からは日越首脳間でハイレベルな交流が続いている現況の日越関係について言及。レー・フン・クック各国友好協会会長からは、「第2回目のフェスティバルを歓迎する」として、武部実行委員長・日本国大使館並びに領事館に対し、謝意を述べられた。続いて、日本酒の鏡割り、また武楽座による伝統古典芸能の舞『羽衣』が披露され、第2回「ジャパンフェスティバル・イン・ベトナム2014」のスタートを祝った。
11月15日(土)9時30分、快晴のホーチミン市「9月23日公園」の特設ステージで、「ジャパンフェスティバル・イン・ベトナム2014」の開会式を行った。ベトナム側からは、ホー・スアン・ソン外務省副大臣、フー・ノック・チュアン ホーチミン市人民委員会副委員長、リー・タイン・リエム ホーチミン市人民委員会副委員長、グエン・ホン・リム ホーチミン市外務局長、グエン・コン・タイン ホーチミン市越日友好協会会長、グエン・テイ・カイン ホーチミン市観光協会副会長他の皆様が臨席。日本側からは深田博史在ベトナム日本国特命全権大使、中嶋敏在ホーチミン日本国総領事、安栖宏隆JETROホーチミン事務所所長、百石洋人ホーチミン日本商工会会長、日本国大使館・総領事館関係者がご臨席、フェスティバル実行委員会からは前総領事の日田春光常任委員、根室市産のサンマをベトナムに普及したことで知られる荒川研常任委員他が出迎えた。
主催者を代表し、実行委員長の武部勤が挨拶(挨拶全文はコチラ)。日本側来賓の深田博史日本大使から、日越のハイレベル交流の現況とフェスティバルの意義を述べられた。日本通として知られるホー・スアン・ソン外務副大臣は、近年の緊密化する日越関係に触れ、「本イベントは政府間のみならず、国民同士で日越関係を相互に補完している」として高い評価を頂いた。リム人民委員会副委員長の挨拶の後テープカットが行われ、気温35度の中、初日4万5千人、2日目は6万人が日本に触れることとなった「ジャパンフェスティバル・イン・ベトナム2014」がスタートした。
ベトナムの皆さんによる「よさこいの踊り」が披露される中、武部実行委員長は、出演者の皆さん、出展者の皆さんのブースを訪問して激励。今回はVTV(ベトナムテレビ)、HTV(ホーチミンテレビ)はじめ、初日に15の報道機関の取材があり、女性向け生活情報ファッション誌のインタビューも行われるなど、日本文化に対する高い関心が伺えた。
また、滋賀県のブースには三日月大造滋賀県知事が、滋賀県と琵琶湖のPRに来場。川崎市の福田紀彦市長が、実行委員会常任委員も務める山田長満川崎商工会議所会頭の案内で、川崎市内企業関係者11名とともに視察に訪れ、市のPRを行うなど、日本の国内でもベトナムに対する関心が高まっていることを実感。
農水産業視察団の案内のため会場を離れた武部実行委員長に代わり、VTVの取材に答えた日田春光実行委員会常任委員の「日本の富士山のようにすそ野の広い交流」、という言葉から、本フェスティバルの意義が浸透しつつあることをうかがわせた。
鈴なりの観客を迎えて、ほぼ30分おきに13を超えるプログラムがステージ上で上演される中、武部勤会長は、会場をスタッフに任せ、農水産業視察団をホーチミン市では成功事例として知られるイオンキャナリー店に案内、同店の運営管理状況を視察した。
店内では、イオンベトナム社西峠泰男社長の説明を受けながら、鮮度の高い野菜などを取りそろえた生鮮品売場での試食コーナー、ベトナムで急速に人気が高まっている寿司やしゃぶしゃぶなどの日本食を味わえるフードコート・レストランエリア、映画館・ゲームなどのアミューズメントエリアなどを一巡した。
その後、ビンズン新都市に移動し、日本との合弁会社であるベカメックス東急社が同地で手掛けるマンションや商業施設など都市開発事業の概要説明を受けた後、26年秋から新たに開業した、ベカメックス東急バス社が運行する「KAZEシャトル」に乗車し、新都市内の現況を車窓から見学した。
同15時にニューワールドホテルに戻り、現地有力紙トイチェ新聞社(ベトナムで48万部発行)と毎日新聞社の共催する「日本技術とベトナム農産品―農水産品の両国市場拡大に向けて―」セミナーに参加。
セミナーでは、2014年に農林水産業に関する日越農業協力合意書に基づく、「技術協力・移転」「投資促進」「関税の自由化」「食品衛生安全基準」などの概況や、果実はじめベトナム農産物に課される輸出入での新たな要件など説明がなされた。
また、生産・加工・流通・消費にいたるフードバリューチェーンの実例や長野県上川村で有名なレタス栽培の協力に実例など、立ち見も出た300名を超える会場で熱心な質疑が行われた。
来賓としてあいさつした武部勤会長は、自身の農林水産大臣時での実績に触れ、また友好議員連盟の会長経験者・特別顧問として日越の農業分野での協力を約束した。
続く17時30分から、同ホテルにて「日本食フェスティバル―農林水産省主催レセプション」に参加した。
ユネスコ無形文化財登録やオリンピック・パラリンピックの東京開催など、世界各国で日本・日本食に注目が高まる中、ベトナムの政財界のリーダー層、メデイア関係者、流通業者、食関連事業者など、影響力を持つ方々を招待し、日本食・食文化の魅力を発信する啓発的なレセプションを実施。日本産品への関心を高め、輸出拡大を図ろうとするもの。
「ジャパンフェスティバル・イン・ベトナム2014」の出展者からも産品を展示協力、サイゴン裏千家茶道同好会によるお点前でおもてなし頂いた。
また、フェスティバルに参加している浅草チャンネルからは2名の芸者さん、東北復興プロジェクトからは着物姿の皆様、コスプレ・ポップカルチャーのメイドさんなど華やかな演出となった。
乾杯の役を仰せつかった武部勤会長は、ベトナムの多くの知己を迎えてのホスト的な役割で、ホーチミン市幹部、食関連有力企業グループ関係者などには着席いただき、日本食の説明、PRを行った。深田博史在ベトナム日本国特命全権大使の、「外交活動の基本は同じ食卓を囲むこと、日越は食でも相通じるところがあるので楽しんで」の挨拶の通り、和やかな会となった。
調理を担当した服部栄養専門学校の西澤辰男日本料理教授ほかは、香りが異なるからと天ぷら用の油を買い求めるなど、食材のみならず、日本食を正しく理解していただけるよう細心の心遣い。各コーナーには日本食を楽しみに長蛇の列、途中、古式にのっとった包丁式も行われ、60分ほどで全てお楽しみいただけた。
11月16日(日)午前、武部勤会長はベトナム中部の都市ダナンに向った。
フェスティバル会場は2日間にわたって、出展いただいた地方自治体、観光協会、企業、学校法人、企業、団体のブースはもちろんのこと、ポップカルチャー、ご当地アイドル、たこ焼き・焼きそば・かき氷など日本に触れて頂き、会場は文字通り黒山の人だかりとなった。特設ステージでは日本からの出演者に加え、ベトナムからも多数のアーチストが参加し、前記の通り初日4万5千人、2日目6万人を集め、16日20時に終了した。