平成26年9月25日(木)第8回月例セミナーを開催しました。講師は、元内閣総理大臣 福田康夫氏、「共に歩むアジアの未来」と題してご講演をいただきました。
講演に先立ち、武部勤代表理事・会長が、9月中旬にウランバートルでモンゴル国名誉領事協議会に出席したことを報告。「今は世界が混乱の時期に突入しているが、この混迷というのはいずれ収束し、理想に向かって進んでいくことを体感した。『1歩後退、2歩前進』という言葉があるように、試行錯誤や対話を通じ、あるべき方向や姿に世界がまとまっていこう、共に歩もう、そういう流れが間違いなくある」とし、「今回のモンゴル国訪問を通じ、一番安心・信頼して、世界からそのイニシアチブを期待してもらえるのは日本ではないか、という確信を得た」と開会の挨拶を行いました。
つづいて福田元総理の講演は、最初にアジア地域の重要性、成長センターとしてのアジアの将来について触れ、「今後、アジアの国々では経済が発展するにつれ、都市化、少子化という連動が起こり、現在の日本や韓国のような『歳をとりつつあるアジア』、つまり高齢化や人口減少も起こってくる。現在の人口が13億人で、2100年に40億人まで増えると言われているアフリカにおいても、人口の増加に対応する経済力やエネルギー資源が本当にあるかどうかは、人類全体の問題である。ある国で人口を増やすのであれば、その国の人口を養うだけの経済を備えなければならず、子どもたちがより豊かな生活ができるという見通しなくして、人口を増やしてはいけないのではないか」とした上で、「日本で人口が減少することについては、全くマイナスと考えていない。問題は、人口が減る中で社会をどのように維持していくかと同時に社会を支える経済をどうするか、このことにもっと知恵を働かせ、力を尽くす必要があるのではないか」と述べられました。
次に、資源活用の方向性について、「資源はあるが、それをうまく活用する方法はまだ知らない国が多い。資源を確保・活用し、それを付加価値の高いものに作り上げていくようなことをやっていかなければならない。日本も技術力をさらに高める必要がある。技術開発することによって、CO2を排出しないエネルギー、それも比較的安く調達できることができなければ、大げさにいえば人類の将来はないのではないか。今ほど技術力が求められる時はない。アジアも世界も同じ問題であり、一緒に問題を考えていくことが必要である」と述べられました。
また、現在の日本と中国、韓国との関係についても触れ、「過去の話をいつまでもしていてもきりがない。それよりも、前を向くこと、一歩踏み出すことは急ぐ必要がある。政治のリーダーたちは、前を向いてしっかりと歩いて行きましょうという合意をすべき。一刻も早く、首脳同士が会って、握手をしてもらいたい。でなければ、他のアジアの国々に迷惑をかけてしまう」と述べた後、「アジアと一緒にやっていく日本、アジアなくして日本はない。またアジアがあってはじめて、日中関係や日米関係もうまくいくようになる。アジアを失うことは、日本の信を失うことだと思うので、ぜひそういう意味合いでこれからも長いお付き合いをお願いしたい」、と講演を締めくくられ、閉会しました。
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