平成26年5月12日(月)第5回月例セミナーを開催しました。講師はモンゴル国特命全権大使ソドブジャムツ・フレバータル閣下、「日本とモンゴル―モンゴルから期待する日本」と題してご講演をいただきました。
講演に先立ち、武部勤代表理事・会長の挨拶に続き、当日ご参加いただいた自由民主党日本・モンゴル友好促進議員連盟会長の林幹雄衆議院議員から「2年前に武部勤議連会長から会長を引き継ぎ、昨年夏には53名でモンゴルを訪問し、その際にはフレバータル大使閣下に世話になった。今年の8月20日には文化交流事業として書道展を開催する。日本から武部勤会長の作品を含む50点、モンゴルから50点の出品を予定している。引き続き友好親善に尽くしてまいりたい。」とのご挨拶を頂きました。
「1972年2月24日の日本・モンゴル外交関係樹立後、42年が経過したが、武部勤会長にはそのうちの28年間を、日蒙関係に尽力していただいた。この6月6日にはモンゴル国の在北海道名誉領事について頂く」との報告から講演は始まった。
まず日蒙関係のスタートに触れ、「1990年のモンゴル国の民主化の後、民主主義・人権・平和といった共通の価値観のもと、西側からの初の首脳として1991年8月14日に当時の海部俊樹首相が来蒙し、その際には武部勤会長も、それから本日ご参加の小倉和夫元外務審議官も同行された。そしてその後、「民主化を政治・経済両面で、世界的に支援する体制も作る」として、国際首脳会議でも取り上げていただき、世界銀行など国際機関の支援も取り付けて、10年間継続して支援してくれた」と日本の功績を評価した。
モンゴルの特徴を、①古くて若い国 2200年前のフンヌ(匈奴)に興り、民主主義を選択してからはわずか24年 ②若くて若者の国 総人口約3百万人の内、7割が35歳以下 ③世界で第2の社会主義国として70年の歴史 チンギス・ハン以降国が分裂し、被征服・被支配の歴史の中で、親ソ連の社会主義路線の選択 と3つに分析、現在のモンゴル国の発展の基盤づくりは日本によると評価し、「日本に対しては3Kである。すなわち感謝・関心・期待。」とまとめた。
「感謝とは、民主化後のモンゴルに対する経済支援の約半分は日本からのものであり、いまや戦略的パートナーシップの構築が日蒙の共通の外交目標となった。中期的行動計画、経済連携交渉、さらには安全保障分野での協議も2012年以降続いている。経済面では豊かな鉱物資源開発はもとより、ウランバートル国際空港、銅精錬、火力発電、鉄道網整備など互恵かつ総合的に補完しあう経済関係ができつつある。文化交流・人的交流を活発化させるとともに、今後モンゴルの青年に対する技術研修や教育分野での借款なども重要。」としたうえで、「次の柱として、国際舞台でお互いを支持しあうことを考えている。日本の提唱で設立されたERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)にも加盟する考え」と述べました。
会場からの質問では、ご参加いただいた亜細亜大学池島政広学長からの「人材育成のポイント」に対する質問に答えて、「大学卒業生の半分以上は無職であり、国の経済目標から考えて、育成していきたいのは鉱物インフラにかかわる技術であり、法律・経済・外国語分野ではない。質的にも量的にも、専門の技術者が足らない。鉱物資源開発・加工、火力発電技術者、銅精錬、製鉄、道路、橋梁、建築、食品、乳製品、毛皮など。日本で学んだ後に、モンゴルで合弁企業設立や工場の建設など作り上げていきたい。」とした。
講演を終えるにあたり、「(モンゴルでは民主化後)日本に対する目と心が180度変わった。これは北東アジアの国際情勢が様々に変わったこともある。過去の歴史問題をいまだに取り上げる国もあるが、それでは北東アジア地域はよくならない。地域の他の国の模範になるような両国関係を築いてゆく。(過去においては)実は、「日本は怖い国」とみていた。アメリカと組む武力の国、怖い国であり悪い国とみていた。ところが最近の世論調査では、親しい国・期待できる国は日本がトップだ。過去にいろいろあっても、解決しようと決心すればできないことはない。(日蒙関係は)戦略的パートナーを超える関係になる。日本に対しては、3Kです。感謝、関心、期待」と閉じた。
講演終了後、村田吉隆東亜総研評議員会議長から「2010年11月にエルベグトルジ大統領が公式実務訪問賓客として訪日された際、参議院本会議場で国会演説をされた。『日本よ目を覚ませ』、と述べられたことを今も忘れない」と謝辞を述べ閉会した。
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