平成26年3月19日(水)、第4回月例セミナーを開催しました。講師は、インドネシア共和国特命全権大使・ミクロネシア連邦担当大使兼任、国際政治経済学博士ユスロン・イザ・マヘンドラ閣下。この2月24日、天皇陛下に信任状を捧呈したばかりのユスロン大使に「今後のインドネシア・日本関係の展望、日本に期待するもの、そしてアジアの未来図」をお話しいただいた。
講演会に先立ち、ユスロン大使御着任の歓迎式を行いました。武部勤東亜総研代表理事・会長の開会挨拶に続き、日本インドネシア友好協会会長の福田康夫元首相から「訪問するたびに街並みが変わり、発展するインドネシアは応援する立場として嬉しい。大きな有力国インドネシアをアジア政策の真ん中に位置づけ、共に協力していく。気取る必要のない仲間が(駐日インドネシア大使として)着任された。」と歓迎した。次いで、日本インドネシア友好議員連盟会長の二階俊博衆議院議員から、「日本が100億を出資して2008年ジャカルタに設立したERIA(東アジア・アセアン研究センター、東アジア経済統合推進のため、政策研究・提言を行う国際機関。アセアン10か国を含む16か国が参加)が、新しいステップを踏もうとしている。インドネシアと合作のような形で、協力しながら進めていきたい。議連も総動員して、新大使に協力する。」とエールを送った。
武部勤代表理事・会長から「ペンは剣よりも強し」と、署名に多用できるよう日本の筆が記念品として贈呈された。さらに、有馬雅子さんからユスロン大使に、瀧澤中当会理事からデヴィ・ルシアナ大使令夫人に花束が贈呈された。
総合司会・藤野真紀子当会理事のもと、日本語に堪能なユスロン大使は通訳も入れず「ジャカルタ・東京の距離(5769㎞)より、インドネシア東西の幅(6400㎞)の方が長い。我が国は、広大な国土を持つ潜在力にとんだ国だ」として、各国のシンクタンクが予想する将来の経済指標を示しながら、「日本にとっては、過去もそして未来も、インドネシアは生命線・生存圏であり、『八紘一宇』パラダイムはいまだに存在している。またインドネシアは、日本へ石油をはじめとする物資を運ぶための3つの海峡を支配しており、巨大な市場・労働力需要・投資先・資源国であり、食料や再生可能エネルギーの供給潜在力のある国である。同時に、インドネシアは日本の最大被援助国であり、最大投資国でもあり、両国関係の将来トレンドは明るい。」と述べた。
今後の展望として、経済協力のさらなる強化と、世界的な食糧供給の逼迫に伴う日本の食糧安全保障面でのインドネシアの協力、さらにはアジアでの米国のプレゼンスの希薄化を補うため、「バランス」をキーワードにした日本の役割・責任の拡大にも触れ、防衛機器の共同研究にも言及した。
参加者からの事前質問に対し、「以前のような戦争は起きない。が、だから、油断していいということではない。平和のために備えることが大事。日本が自分の身を守るのは当然の権利であり、日本は遠慮しすぎだ」と、講演を締めくくった。
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