東亜総研月例セミナー報告-平成26年1月22日(水)

平成26年1月22日(水)13時30分から、「日越外交関係樹立40周年の成果」をテーマに、第2回月例セミナーを開催いたしました。

講師に、前駐ベトナム日本国特命全権大使(昨年9月まで)、現在は外務省研修所長の谷崎泰明氏をお迎えし、昨年2013年に40年の節目の年を迎えた「日本とベトナム両国関係の今後」についてお話しいただきました。

「南北に細長い国土のベトナム社会主義共和国は、気候・風土が様々で、ベトナムの花は北の桃か、南の梅か、全土の蓮かで議論が続いている。蓮を国花とする法案がやがて国会で決議されることになろう」と始まった講演は、「昨年12月15日の日越首脳会談で会談冒頭に安倍首相から日越大学構想に言及するなど、これまでの戦略的、あるいは包括的パートナーシップとされていた日越関係は、ズン首相から『緊密な信頼関係にある』と、二国間関係で最も強い表現が初めて使用されるなど、一段と高い評価を受けるようになった。いずれベトナムは日本を参考にPKO活動にも参加するのではないか」とも述べられました。ベトナム経済については、経済統計などを示しながら、「中・長期の見通しでは将来を楽観している理由は①9千万人を超える人口、②優秀な労働力、③内需の急速な伸びによる大量消費社会化」との見通しを示されました。また、ベトナムへの外資としての最大の投資主体である日本企業の動きについて、「その内容が内需型や中小企業に広がりを見せ、好転してきている」と評価されました。ベトナムの課題としては、①経済が伸びると需給逼迫する電力不足問題、②労働力の質の問題、③南部の農業競争力の強化、④国営企業改革の問題の4点を指摘されました。

本年3月に予定されているチュオン・タン・サン国家主席の来日に当たっては、「ベトナム南部で競争力のある農業分野も重要な議題となる」と述べ、また政治情勢については、「2016年の共産党大会でもサプライズはない」とのことでした。

講演に続き、会場からは、中国とベトナムとの関係、ベトナム型民主主義の行方、近年深刻化する環境問題への対応、国営企業改革の今後など、活発な質疑が行われ、充実したセミナーとなりました。

谷崎泰明氏

最新の経済指標を基にベトナムの今後について講演いただいきました。

⇒講演録の全文はコチラ 第2回月例セミナー講演録