北海道・ベトナム交流セミナー
武部会長が「北海道とベトナム人財」のテーマで講演
武部勤・東亜総研代表理事会長兼北海道ベトナム交流協会会長は11月28日、札幌市の北海道経済センターで開催された北海道・ベトナム交流セミナーで「北海道とベトナム人財について」と題して講演しました=写真。
冒頭、武部会長は1991年に故渡辺美智雄・元副総理に伴って初めてベトナムを訪問したことに触れ、「渡辺先生からインドシナ半島が平和になり安定して成長すれば、日本にとって大きなマーケットになるばかりでなくて、大国の覇権を牽制することができるであろう」と教えられたことに言及、それ以来、日越友好議員連盟の会長などを務めてベトナムとの往来を続けてきたと述べました。
現役の国会議員時代から日越外交関係樹立40周年(2013年)を期して記念事業をやろうとの話があり、当時ベトナム共産党政治局員のトー・フイ・ルア越日友好議員連盟会長(現日越大学名誉学長)と協議して「将来の人づくり」を目的とした日越大学構想を打ち出し、その実現に奔走してきたと話しました。日越大学は2016年に大学院が開校、今年7月に一期生56人が修士課程を修了し11人は東京大学をはじめ日本の大学の博士課程に進学、日本の大手企業に本社採用された修了生もいると説明しました。
武部会長は、国会議員引退後の2013年6月に一般財団法人東亜総研(今年7月に公益財団法人)を設立して日越大学構想実現をはじめ、ベトナムからの技能実習生受入れの監理団体として活動してきたと述べました。東亜総研は北見を中心に北海道を拠点にして技能実習生を現在150人余り受け入れ、2019年3月には200人を超えるとの見通しを示しました。さらに、受入れ実習生の20%が日本語能力試験のN2(日常的な日本語に加え幅広い場面での日本語をある程度理解)、N3(日常的な日本語をある程度の理解)のレベルにあると話しました。ベトナムからの技能実習生が13万人と2010年の17倍に急増している現状を踏まえ、悪徳ブローカーや責任義務を果たしていない監理団体を行政機関がきちんと指導・監督する必要性を強調しました。
技能実習制度は義務教育、特定技能1号は高校、2号は大学
そのうえで、来年4月に施行される改正入管法に関連して、「この法律の目的に、現行の人材育成と同時に人材確保を加え、2つの目的を技能実習制度に求めていかなければならない。わかりやすく言うと、技能実制度は義務教育、(改正管法改正で新設される在留資格の)特定技能1号は高校、特定技能2号は大学と考えればよいのではないか。従って、特定技能1号というのは単純労働ではない。技能実習生を修了した人たちが特定技能1号になるのだから」と持論を展開しました。
改正入管法で新設される在留資格
特定技能1号 一定の知識・経験が必要な業務に就く。最長5年。
特定技能2号 熟練の技能が必要な業務に就く。期間の更新が可能。
交流セミナーでは中田隆博・北海道ベトナム交流協会札幌会長、辻泰弘・北海道副知事が挨拶。ヴー・ホン・ナム・駐日ベトナム大使が「これからの日越関係と北海道」と題して講演、実例紹介として佐藤一彦・同交流協会旭川会長が「旭川市のベトナム関連事業」、クール北海道の松浦武志氏が「ベトナムでの北海道の食のブランド形成の取組」、釧路フィッシュの平野勝幸代表取締役が「技能実習生制度を通しての交流」のテーマで話し、今村光壹・同交流協会宗谷会長の挨拶で閉会した。
ナム・駐日ベトナム大使の歓迎レセプション 高橋北海道知事ら挨拶
北海道・ベトナム交流セミナー終了後、札幌グランドホテルで今年10月に着任したヴー・ホン・ナム・駐日ベトナム大使の歓迎レセプションが開かれました。武部会長の開会挨拶に続き、高橋はるみ・北海道知事、大谷亨・北海道議会議長、岩田圭剛・札幌商工会議所会長が歓迎の挨拶をしました。ナム大使は「着任して最初の視察地として北海道を訪問した。それだけベトナムと北海道の関係を重要視している」と答礼の挨拶をしました=写真はナム大使。
改正入管法 参考意見が附帯決議に反映
武部会長が「悪質な紹介業者の介在防止」など提案
武部勤会長は11月に政府が入管法改正案を閣議決定した直後、次からなる参考意見を二階俊博・自民党幹事長はじめ衆参両院の法務委員会与党理事らに提案しました。
- 特定技能外国人の受け入れに当たっては、入国させる前にいかに良い人材を選考するかが肝要であり、日本政府と相手国政府との二国間協定を結び、悪質な紹介業者等の介在並びに有為な人材確保のために人材の選定、教育等を含め、相手国が認定した送出し機関が適正に行うなど、実効性ある方策を講ずること。
- 「特定技能」の創設に鑑み、現行の外国人技能実習制度について、その目的、技能実習生の保護、対象職種の改善、技能実習計画の適正化等、問題点を速やかに検証し、必要な改正を早急に行うこと(以下、具体的な参考意見を列挙)。
- 技能実習制度の目的に「人材確保」を追加し、「人材育成」と両面の対応ができるようにする(技能実習制度は、いわゆる義務教育に位置付け、「基礎的な人材育成確保」。特定一号は、いわゆる高等教育と位置づけ、「中堅的な人材育成確保」、特定技能二号は、大学・専門教育に位置づけ、「高度な人材育成確保」と考えるとわかりやすい)。
- 職種について産業現場の実態、母国で活用しやすい技能を考慮し、多能工育成を前面に出し、職種・作業を「農林水産業」「建設」「食品製造」等に大括りにする。要望の多い「宿泊業」「外食産業」などを追加、「特定技能制」との一貫性をはかる。
- 多能工育成の観点から技能実施計画も地域の実態等も考慮し柔軟化する。(北海道では耕種農業が終わると選果場、加工場、畜産酪農もできるようにしている。農協が実習実施者として最先端農業を働きながら学んでいる。オホーツク地域は結氷地帯であることから冬場は操業できない。特別対策が必要。自治体と協議の上、柔軟な対応を考慮する)。
- 地方自治体及び実習実施者の理解と協力のもと、休日等を利用し、実習生が他の職種や日本の生活文化等の講習会・研修会に積極的に参加できるようにする。
- 監理団体と受け入れ企業の利益相反が生じないように許可要件を強化する。同時に監理団体、受け入れ企業のコンプライアンスを徹底する。
これらの参考意見は12月8日、参院法務委員会において入管法改正の法律案に対する附帯決議にも反映されました。武部会長は12月13日に山下貴司法務大臣、10日に吉川貴盛農水大臣、14日に根本匠厚生労働大臣、11日に長谷川岳・自民党法務部会長と面談し、在留資格に関する細部事項など政省令で運用する際は参考意見の趣旨を尊重してほしいと要望。長谷川部会長から「(自民)党として最大限配慮する」との約束を取り付けました。
日越大学 第二期インターンシップ来日記念交流会レセプション
武部会長挨拶 「グローバルリーダーを目指し、将来は日本企業の社長になる気概を」
武部勤会長は11月12日、東京都千代田区のホテルで開催された日越大学第二期インターンシップ来日記念交流会レセプション(JICA、日越大学主催)で挨拶し、「日越大学はアジアのハーバード大学を目指している。宇宙界地球村のグローバルリーダーになってほしい。将来は日本企業の社長になる気概を持って頑張ってほしい」と話しました=写真。武部会長は日越大学がサステイナビリティ(持続的発展)に奉仕する先端技術とリベラルアーツを重視して学際科学の領域でアジア有数の研究大学となり、地球的な規模で実践的な要請に対応できるグローバルリーダーを輩出する理念を掲げていることを強調しました。来年には修士課程プログラムとして「グローバルリーダーシップ」の開設も予定されています。
レセプションでは古田元夫・日越大学学長、河村建夫・日越友好議員連盟副会長、野上浩太郎・内閣官房副長官、ヴー・ホン・ナム・駐日ベトナム大使、越川和彦JICA副理事長が挨拶し、今年9月から日本でインターンシップをしている日越大学第二期生68人ら約250人が出席しました。日越大学は今年7月に一期生56人が修士課程を修了、同9月に入学した三期生はミャンマーとナイジェリアからの初の留学生を含む83人が在籍しています。二期生82人のうち、今回来日した72人から68人が交流会に出席しました。来日した二期生は指導教官のいる大学で研修を受けるとともに20以上の企業や官庁でインターンシップに参加しています。
学生代表 ジェウさん 「未開の地の一人の開拓者、将来は企業の宝物になりたい」
学生を代表してグエン・クアン・ジェウさん(地域研究プログラム2年)は、「日越大学は潜在力を秘めた未開の地だと思います。学生はその未開の地の開拓者なのです。私は一人の開拓者として『思いがけない出会い』と『興味深い知識と体験』という宝物を掘り当てました。将来、自分自身もどこかの企業や機関の宝物になるかもしれません」と挨拶しました=写真。
ジェウさんは今年7月の一期生の卒業式で在校生代表としてスピーチし、最後にSMAPの「世界に一つだけの花」を歌い、来賓の武部会長ら出席者全員が大合唱するきっかけをつくりました。
卒業生 ウェンさん 「チャンス、チャレンジ、チェンジを合い言葉に頑張りたい」
卒業生のディン・ティ・トー・ウェンさん(立命館大学大学院理工学研究科博士課程)は、武部会長が日越大学卒業式でスピーチしたCHANCE(チャンス)、CHALLENGE (チャレンジ)、CHANGE(チェンジ)を引用し、「武部先生から特別にプレゼントされた3つのCがどれほど意味のあることかが理解できるようになりました。チャンス、チャレンジ、チェンジを合い言葉に、高いハードルを乗り越え、アジア、世界のイメージアップを図れるように頑張ります」と述べました=写真。
卒業生 クオンさん 「日越大学は人生の財産。日越両国、アジア、世界との絆に」
卒業生のグエン・シー・クオンさん(株式会社ジュントス橋梁事業部技術・メンテナンス部設計チーム)は、「日越大学在籍の2年間でマインドセット、アプローチ、グローバルの考えが身につきました。私にとって日越大学は人生の財産になっています。日越両国、そしてアジア、世界との絆になりたいと思います」と話しました=写真。
武部会長訪越報告(11月5日~11日)
自民党前議員訪問団 チン越日友好議連会長らと意見交換
武部会長は11月5日から11日の間、斉藤斗志二氏ら自民党前国会議員6人及びご夫人ともに、ベトナムのハノイ市、ホーチミン市とラオスの世界遺産ルアンパバーンを訪問しました。
- 11月6日、トー・フイ・ルア日越大学名誉学長と意見交換。
- 11月6日、トン・ティ・フオン国会副議長と会談。
- 11月7日、ファム・ミン・チン越日友好議連会長の歓迎夕食会。
- 11月8日、ル・タン・リエム・ホーチミン市人民委員会副委員長、レ・クアン・ロン・ホーチミン市外務局長と意見交換。
- 11月8日、ベトナム人技能実習生送り出し機関・エスハイ社を訪問、レ・ロン・ソン社長らとの懇談と授業風景の視察。
- 11月8日、ホーチミン日本商工会議所の門脇恵一会頭らと第6回ジャパン・ベトナム・フェスティバルについて意見交換。
第6回ジャパン・ベトナム・フェスティバルツアーご案内
来年1月19、20日にホーチミン市で開催 1月18日に「農業セミナー」
ベトナム最大の日越交流イベント「第6回ジャパン・ベトナム・フェスティバル(JVF)」が2019年1月19、20日にホーチミン市で開催されます。6回目を迎える同イベントは日越の相互協力をより強固にすることが目的です。今年1月に開催された第5回では18万人を超える来場者を記録し、ベトナム最大の日越交流イベントとなっています。JVFは日越相互の伝統・文化を理解し、観光・物産・技術の紹介や交流を通じた、広範囲にわたる交流イベントです。今回は1月18日にJVF農業セミナー「ベトナム農業の持続可能な発展に向けて」が開催され、講演やパネルディスカッションが行われます。
技能実習生送り出し機関・エスハイ社見学やビジネスマッチングも
今回も訪越ツアーを募集しました。ツアーではJVFのレセプション、農業など各セミナー、会場内ブースでの北海道「食」の紹介やビジネスマッチングに参加いただくことを柱に、東亜総研と提携するベトナム人技能実習生送り出し機関・エスハイ社の教育施設の見学や部門別(建設・農業など)の視察、さらに、ホーチミン市、ミーソン遺跡、古都フエのオプショナルツアーが含まれたものとなっています。